決済ソリューションの成功の鍵

決済ソリューションの成功の鍵

技術系・産業分野を問わず、今の時代の業界リーダーについて成功の理由を考えてみると、ある共通点が浮かび上がってきます。それは、彼らが顧客主義の企業であるということです。

そうした顧客主義の企業は、デザイン主義のアプローチを採択している傾向にあります。顧客主義であるということは会社のあらゆる面において顧客を一番に置くことを重視するということであり、デザイン主義のアプローチとはデジタルプロダクトやサービスのあらゆる面においてユーザーを一番に置くようにするということです。

デザイン主義のアプローチを採択する企業は、ユーザー中心設計(UCD)を活用します。これは、ユーザビリティの目標やユーザーの特徴、ユーザーのジャーニー、タスク、プロダクトまたはサービスのワークフローに対し、プロセスのそれぞれのステージにおいて十全に注意が払われる設計です。Econsultancy’s 2018 Digital Trends for Creative and Design Leaders Reportによれば、こうした設計を活用する企業は、競合よりも際だって優れたパフォーマンスを発揮する割合がおよそ倍も高かったとされています。

図1:ユーザー中心設計

図1:ユーザー中心設計

金融業界も例外ではありません。

バンキングソリューションや支払いソリューションは急激に進化しており、より複雑になってきています。特定の顧客タイプや銀行、金融機関、企業、またすべてのエンドユーザーをターゲットとした、新たなイノベーションも現れてきています。チェックスキャナー(小切手の現物をスキャンしてリモートで決済を実行できる)のように金融機関で使用されるシステムや、モバイルバンキングアプリのようなエンドユーザー向け製品などさまざまなソリューションが存在します。

しかし、バンキングソリューションや支払いソリューションの開発者が重きを置いているのは、デザインやユーザー体験よりも、セキュリティや機能面です。そしてこの場合、そうしたソリューションは十全ではないと言えるでしょう。今日のユーザーが単に機能的で安全なアプリケーションだけでなく使いやすく便利な機能を求めているのは事実だからです。

金融機関の従業員であろうと顧客であろうと、ユーザーはそのニーズを叶えてくれるようなシンプルかつユーザーフレンドリーなプロダクトを求めるものです。例えば銀行の窓口係が不要なテキスト入力や隠されたアクションといったものを含むソリューションを扱うことになると、その認知負荷は大きくなり、生産性が阻害され、待ち時間は長くなり、顧客満足度も低くなります。

別の例がモバイルバンキングアプリです。様々なサービスが個人に合わせて利便性を高めながら提供されるようになったことで、こうしたアプリは主なバンキングインターフェイスとして顧客に用いられるようになってきています。そのようなモバイルバンキングアプリのデザインは、老若男女すべての顧客のペルソナのニーズに応えるようなものでなければならず、誰にとってもユーザーフレンドリーなものでなければいけません。

図2:デザイン構想&インタラクションの基礎

図2:デザイン構想&インタラクションの基礎

つまり、ユーザー体験(UX)デザインと最適化を採択することは、ソリューションの成功に不可欠なのです。

UXデザイナーの役割は、使いやすく直感的なプロダクトをデザインすることです。このプロセスは関係者会議によって要点をまとめ、プロダクトへの理解を深めることに始まり、その後リサーチや分析、コンセプト考案、プロトタイプ作成と試験を行うことで、プロダクトのデザインが十全でありかつユーザーフレンドリーであることを確認します。一連のUXデザインプロセスは、プロダクトがローンチされた後のユーザーのレビューやフィードバックの分析にも至り、プロダクトのユーザビリティと効率性が常に改善されるように努めます。

図3:ユーザーエクスペリエンス設計

図3:ユーザーエクスペリエンス設計

これが特に重要なのは、フィンテック企業が顧客を獲得し維持する上で、また全体の生産性や売上の改善、銀行のような金融機関における業界大手との競争に勝つ上でUXが重要であることが既に認知されている業界です。

だからこそ、金融機関はUXデザインを重要視しなければいけないのです。

ユーザーの需要は変化し、業界内の競争は苛烈になり、金融商品を成功づけるものとして、セキュリティや機能性だけでなくユーザビリティや利便性が求められるようになりました。つまり、社内で支払いソリューションを開発するにせよ、ソリューションベンダーと協力して次のビッグプロジェクトを計画するにせよ、UXデザインチームを結成することは重要なのです。そうでなければ、プロダクトは十全なものにはならないでしょう。

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