デジタル資産時代がついに到来

デジタル資産時代がついに到来

2020年1月。COVID-19は突如として襲来し、全世界を席巻しました。その後現在に到るまで、各国政府はペストのように猛威を振るう病原体に、経済、社会、航空、交通、政治のあらゆる面で対応を迫られています。しかし、十分な分析を行ってから、適切な対処をするだけの余裕はありませんでした。

各国政府は、日常業務のほぼすべてを停止させるような厳重な規制を断行し、あらゆる業界に甚大な影響を与えています。金融業界もその例外ではありません。このまま私たちは、どうなってしまうのでしょうか? 過去の恐慌を経験してきたベテランのアナリストたちは、2008年のリーマンショックよりも深刻な経済危機を予測しています。

あのアマゾンやアリババですら、従前のビジネススタイルを維持することができませんでした。オンライン小売業者は物理的な配送チャネルを必要とするからです。航空や輸送部門はなおさらのこと。世界中の国境が閉鎖されている現在、誰もが、金融、通信、社会、食料、官公庁など、あらゆる分野で「デジタル遠隔作業」を可能とするインフラ構築の必要性を訴えています。今のところ、パンデミック下で「無傷な生存者」は、Netflix、YouTube、Facebookといった、デジタルサービスを提供している企業だけです。

今の状況が、あと2年、3年と継続したら? あるいは、新たな未知の病原体が世界中に蔓延したとしたら? COVID-19のような不測の事態との遭遇に、私たちはどのように備えればよいのでしょうか?

インターネットの存在を前提とすれば、上記の問題をすべて解決するシンプルな答えを導き出すことができます。「電子デジタルベースのサービス」への全面的な移行です。具体的には、世界のすみずみまで通信チャネルを行き渡らせ、「キャッシュレス環境」「デジタル資産」「電子顧客確認サービス」(eKYC)を提供する、などが挙げられます。

COVID-19の世界的流行により脚光を浴びた「デジタル資産」ですが、2012年の誕生から2019年に到るまで、真剣に検討されることはありませんでした。かつてはデジタル資産の土台となる「ブロックチェーン分散記帳テクノロジー」(DLT) についても、必要性が認識されていなかったのです。しかし、いまやDLTこそが、資産を完全にデジタル化し、遠隔地に即時に送金するためのキーテクノロジーであることが明らかになりました。そして、DLTを用いれば、単なるキャッシュレス決済の枠を超え、特定の資産について、現在および将来の所有者間で「迅速」かつ「確実に」「証拠が残る形で」所有権を移転することができます。

デジタル資産は、資産であるのと同時に、所有権移転の手段でもあります。その活用の可能性は無限です。この記事では、デジタル資産の持つ「資産」と「eKYCプロセス」の側面だけでなく、「所有権移転のプロセス」と「所有権の証明」も含めて、実用化したユースケースを抜粋してご紹介します。

eKYC導入の取組みは、COVID-19の発生に先だって急浮上していました。テクノロジー、法律、規制、規格の連携によって実現されうる、新しい商慣行のフロンティアとして注目を浴びていたのです。この新しい商慣行においては、すべての局面においてKYC規制への準拠が求められるため、デジタルウォレットの開設時はもちろん、これまで厳格だった銀行口座の開設時においても、ユーザーはeKYCを通じて「オンラインで」登録プロセスを完了させることができます。また、KYC規制への準拠が求められるすべてのセクターにおいて、必要な証明や情報を適時に取り出せることが要求されますが、リモートアクセス機能を備えたeKYCならその要求をクリアすることが可能です。

eKYCを実現するには、高度な機械学習(ML)と人工知能(AI)の双方について深い知識を持つソリューションプロバイダーとの提携が不可欠となります。顧客の身分、真正性、必要なレベルの認証を確認するための生態認証プロセスをリモートで行うためです。さらに、国民IDカード、パスポート、運転免許証等の住所確認が可能な証明書を収集し、真偽を鑑定するための専門知識も必要です。このような高度なeKYCプラットフォームは、物理的な証明書なしで本人確認を行うことで、金融サービスや法律サービスの「リモート提供」を可能にします。

「証明書」・・・懐かしい響きのする言葉ですね。証明書とは、商品や知的財産などの資産の所有権を証明するものとして、個人または法人が保管する書類のことです。

では、デジタル環境において、所有者がセキュリティ、プライバシー、機密性を維持しながら、所有権を譲渡したり、他者にアクセス権を付与したりするためにはどうすれば? その答えが、DLTです。

さまざまなカテゴリーやタイプの資産に対応しうる、グローバルなブロックチェーンベースのDLTを構築することで、企業や官公庁向けの「デジタルベース」かつ「リモートアクセス可能」なeKYCおよび資産管理ソリューションを簡単に実現することができます。

現在、技術者たちは、「オンライントランザクション処理」(OLTP) と「InterPlanetary File Systems」(IPFS) の両方について、ブロックチェーンとDLTの背後にあるテクノロジーを深く研究しています。この2つのコア技術は、国境や物理的条件の制約を受けない、完全にリモートなデジタル資産環境への移行を可能にしてくれます。

ProgressSoftは、世界中のすべての国からアクセス可能で、個人ユーザーが自由に利用できる商用ネットワークの創設を提案しています。それを可能にするのが、グローバルなブロックチェーンに基づくDLT認証システムです。

デジタル資産に移行するタイミングはまさに今。激動に揺れる今こそが、行動を起こす時なのです。

関連サービス

銀行業務における 人工知能のユースケース

銀行業務における 人工知能のユースケース

銀行分野でのAIの導入はまだ初期段階にありますが、そのチャンスは非常に大きなものです。ProgressSoftのAya Hadidi氏が銀行・金融分野におけるAIを利用した重要なアプリケーションをご紹介します。

コロナ禍におけるUX調査

コロナ禍におけるUX調査

UX調査員は通常、普段の振る舞いについて質問をすることから始めます。しかし「通常」とは異なるアフターコロナ時代ではUX調査手法にも工夫が必要です。今回のブログではProgressSoftのUXリサーチャーに、パンデミックにおけるデジタルシフトがどのようにUXチームやそのテスト手法に影響を与えてきたかについて質問しました。

2021年の銀行業務における3つの先進的技術

2021年の銀行業務における3つの先進的技術

デジタル変革を現実のものとし、実際に施行していく上で重要になる3つのテクノロジーとは?2021年、銀行がこうしたテクノロジーを活用することがなぜ重要なのでしょうか?ProgressSoftのチーフソリューションアーキテクトによる、ブックマーク必至のリストをご覧ください!