コーポレートバンキング、その自動化の歴史

銀行の金融戦略の主な柱としては、コスト削減、利益増大、競合ひしめく市場での占有率の維持などがあります。こうした主要戦略を実践していく上でのひとつの方法が、バンキングサービスの自動化(オートメーション)です。もちろん、自動化を導入する場合の初期投資は小さくありませんが、長期的には運営諸経費や人的資本コストの削減が期待できます。効率的に実施できれば顧客満足度の向上、新たな顧客の誘致、既存の顧客維持などに効果をもたらしてくれることでしょう。

こうしたサービスには、例えばコーポレートバンキング(企業金融)やリテールバンキング(小口取引)などがあります。コーポレートバンキングの自動化は小口取引よりも複雑かつコストが高いのですが、その分最も利益が大きい分野でもあります。そこで今回は、コーポレートバンキングやリテールバンキングの自動化の歴史と歩みについて、知っておくべきことをまとめました。

銀行商品とは?

銀行商品は通常、広告で宣伝された商品を顧客が求め、申込を行うことから始まります。この申込では、財務状況を管理するバックエンドシステムと関連するデータ項目の入力や、銀行のバランスシートを構成する帳簿の記入などが求められます。

この申込書は銀行窓口からカスタマーサービス担当者に送られ、そこで修正・編集が行われます。正式な承認前の書類提出には顧客の立ち会いが求められることもあります。銀行のポリシーや手順に沿って担当者や担当委員会にこれが承認されると、対象の取引が銀行のバックオフィスに通され、その結果が顧客の口座に反映されます。最後に、銀行のバックオフィスからのフォローアップにより、取引が銀行のポリシーや手順、流動性およびリスク戦略に基づいて完了したことが通知されます。

小売用商品の歴史

銀行における小売用商品とは、大衆のための一般申込ルールを持つ仕組み商品を指します。銀行の小売商品を自動化するには、まずそれぞれの商品の申込とワークフローを自動化しなければいけません。これに関しては、銀行が小売商品の自動化を開始したことで自動信用度採点システムが導入され、自動化プロセスが更に洗練されることとなりました。

やがて自動化は、人的作業やそのための諸経費の削減、顧客ベースや市場における商品や顧客の増加、利益の向上といったような、大きなメリットを銀行にもたらすようになりました。加えて、レポートやアラートのシステムが自動化されたことにより、債務不履行率や債務不履行に陥った顧客から生じる損失の低減にもつながりました。

企業向け商品の歴史

銀行では、法人向け商品がその顧客ポートフォリオのおよそ80%、全体の顧客ベースのおよそ20%を構成しています。小口取引の顧客と比べると数はずっと少ないものの、銀行収益の80%は企業からによるものなのです。

法人顧客が抱えるリスクは小口顧客よりもずっと大きく、ひとつの法人顧客が債務不履行に陥ることによる損失は、小口顧客数千人分の損失にも匹敵する場合があります。こうした理由のため、企業向け商品を自動化することは、小売用商品を自動化するよりもずっと難しいのです。

企業が行う支払いは、工業や農業など様々な部門に分散されています。そして、それぞれの分野には独自のニーズや専門性、入力データや出力データが存在します。つまり、企業向け商品の自動化を行うことはおよそ不可能であり、仮に特定の部門について企業向け商品を自動化したとしても、その部門の全ての企業のニーズを満たすことはできないといえるのです。

コーポレートバンキング取引の自動化

企業向け商品の自動化には複数の障害がありますが、銀行はITベンダーや通信会社、ネットワークプロバイダーと協力し、国際的な技術ツールを用いることで、企業向け商品を自動化するというより、企業取引自体を自動化しようとしています。小売部門とは異なり、自動化を成し遂げるには複数の団体と密接に協力していくことが強く求められます。

ストレート・スルー・プロセッシング(STP)決済ソリューションが導入され、口座同士の支払い、地域の支払い、国境間支払いを問わずに企業がそれぞれの場所から支払指図書を電子的に実行できるようになったのもその一環です。こうした支払指図書は、企業の銀行で経理のために自動処理され、その後SWIFTネットワークから自動で受益者および支払銀行に伝達されます。これにより決済に要する時間も短くなり、コストも削減できたことで、関係者全員のメリットが実現しました。自動化された企業取引の例としては、以下が挙げられます。

国際間支払(クロスボーダー送金)
SWIFTネットワークは、強化された追跡サービスや銀行と企業の両方の透明性を実現したBIC(企業がその支払を直接金融機関識別コード)やGPI(Global Payment Initiative)といった支払自動化を促進する技術により、その支払を直接処理することのできるアクセスポイントを実現しました。

給与
企業は現在、従業員の給与を直接該当者の口座に、即座に、かつ内容を明確に、どこにいても支払うことができます。ペーパーワークや照合作業、手間の掛かる手順も必要ありません。

小切手
企業の小切手処理は現在自動化が可能で、小切手の発行や現金化も行うことができます。受け取り側の企業は、小切手を自分の場所から預金することもできます。

資産管理・現金管理
企業は現在、そのコミュニケーションと金融取引を、自分の場所から行うことができます。

貿易金融
輸出・輸入を行う企業や信用状の発行および通知銀行、保険会社、輸送会社、税関など、非常に多くの組織が関連し、またワークフローが複雑であることから、貿易金融の自動化は非常に複雑なもののひとつとなっています。信用状に関連するペーパーワークは自動化されていますが、ドキュメントの提出と発送は未だに紙ベースです。ブロックチェーンのオープンレジャーに基づいた自動化試験は精査中で、一連の流れに関わるすべての団体や組織を巻き込むという課題にはまだ対処できていません。

企業取引の自動化のための革新的ソリューションは、これからもっと多くのものが考案され、そして洗練されていくでしょう。決済ソリューションベンダーは、未だ紙ベースの企業金融を、世界的パンデミックの災禍にあってもすべての関連組織を満足させるような「完全自動化されたデジタル決済」への転換を加速、研究、分析する上で重要な役割を担うこととなります。

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