ブロックチェーンを活用した中央銀行デジタル通貨について

ブロックチェーンを活用した中央銀行デジタル通貨について

国際決済銀行によれば、いまや世界中の中央銀行の約80%が中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行の検討に向けた調査研究に着手しています。これが実現すれば新しい通貨時代に向けた転換が不可避であるといえるでしょう。

ProgressSoftは中央銀行、政府規制当局、多彩な金融機関との32年以上の取引経験と6年以上にわたるブロックチェーンベースの中央銀行デジタル通貨ソリューション(CBDC)構築で培った熟練技術から、この複雑なテクノロジーがもたらす様々な難題や中央銀行の調査研究のポイントを完全に把握しています。

私たちは、膨大な案件のビジネス、運用、技術に関する専門知識、経済、法律、規制、コンプライアンス要件にアクセスし、この技術で中央銀行が被るであろう不明瞭な部分を克服することに成功しました。中央銀行がCBDC発行を行うにあたっては、私たちがそのサポートができるでしょう。サポートとは、すなわち金融の安定とセキュリティへの影響の評価から、銀行の資金調達と流動性への影響の評価まで、ブロックチェーンをベースとした統合的な技術の上に成り立っているすべてです。

PS-CBDC

ProgressSoftのソフトウェア開発能力、技術インフラの専門知識、この破壊的テクノロジーに特化した豊富な人材は、当社のカスタムメイドのブロックチェーンベースのCBDC、PS-CBDCに反映されています。これは高度なブロックチェーン技術に構築され、中央銀行によって承認された、国家の枠組みの下高度で安全な形態で発行されたデジタル通貨を国に提供するソリューションです。

CBDCは比較的新しい破壊的テクノロジーであり、中央銀行がプロジェクトを必ず成功させるためには、十分な知識と高い能力を持つプロバイダーとの提携が不可欠であると私たちは考えています。その上で、ProgressSoftでは著名なデジタル通貨スペシャリストや様々な分野の国際的なコンサルタントによる、PS-CBDCが従来の通貨の優位性を備えつつ、中央銀行が採用する戦略への適応性を維持し、さらに中央銀行が開発の全段階に関与できるような支援・評価が可能です。

技術的な観点でいえば、PS-CBDCは中央銀行のために安全でカスタマイズされた先進的なソリューションを提供するために以下のような複雑な構成要素を含みますが、これらだけに限定されるものではありません。

許可制ブロックチェーンネットワークによりネットワーク上のすべての取引に関する変更不可能な台帳を保存・共有します。

不換紙幣との1対1の交換レートで中央銀行のデジタル通貨への段階的な移行を可能にしていきます。

オープンインテグレーターとビルトイン・スマートコントラクトに加え、自動スケール可能なモジュラー式コンポーネントを搭載し、さまざまな決済エコシステムに対応します。

動的なユースケースで卸売りおよび汎用的なCBDCの実装設計を容易にします。

ID管理とモジュールにより、発行、評価、コンセンサス、ピアツーピアの国内・国境を越えた決済に対応します。

モバイルウォレットソフトウェア開発キット(SDK)により、あらゆるモバイル決済アプリケーションに接続可能、CBDCへの全国的な移行をよりスムーズにします。

目的および利点

PS-CBDCは、中央銀行が以下の主な目的を果たすことができるように作成されました。

  1. 現金詐欺や強盗の解決
  2. 現金コストの削減
  3. 新しい市場ニーズに対応
  4. 金融包摂の強化
  5. オペレーションリスクの低減
  6. 独占の禁止

これらの目的は、PS-CBDCが本来提供できる以下のメリットを通じて達成することが可能です。

金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)

PS-CBDCは、銀行、中央銀行、政府、金融機関、銀行口座を持つ個人、持たない個人にとって、コストのかからない交換媒体、安全な価値貯蔵、安定した口座単位としての役割を果たします。また、個人間、個人と企業、個人と政府を含むがこれに限定されない、リテールCBDCのあらゆる種類の決済をサポートします。

財務の健全性

PS-CBDCは、参加者登録と定期的な記録のアップデートにより、アンチマネーロンダリング/テロ資金調達対策(AML/CFT)および顧客情報(KYC)手順に準拠し、取引の財務的整合性を確保します。また、単一障害点のない、多段階の検証やコンセンサスプロトコルを実現しています。

トランザクション上のプライバシー確保

中央銀行の希望により、PS-CBDCは取引当事者間の匿名性を確保します。中央銀行が所有権を主張する場合には口座や取引追跡を許可することも可能です。

金融市場モニタリング

PS-CBDCは、統計的なデータ分析および市場の消費行動のモニタリングが可能です。産業界と金融セクターの間の資金分配を提示し、金融政策ツールを強化し、最終的には脱税を防止します。

経済的利益

PS-CBDCは、最小限のインフラコストで取引の「摩擦」をなくし、繰延決済に伴うリスクを軽減します。また、民間が管理するマネーシステムの信頼性を向上させ、国の決済システムに対する信頼性を高めることができます。

クロスボーダーペイメント

PS-CBDCは、クロスボーダー決済の効率を高めるために拡張も可能。中央銀行によるマルチCBDCの取り決めを形成する機能を備えています。これにより、特に新興国では送金、旅行、貿易の目的で他の通貨に簡単かつ安価でアクセスすることも可能です。

実験的調査

新しく出現した現象に対処する場合に推奨されるアプローチは、概念実証(PoC)やパイロットプロジェクトを通じた実験的な調査です。これは、世界的なベストプラクティス基準がない中、CBDCを調査するほとんどの中央銀行が取っているアプローチでもあります。

したがって、私たちは、さまざまなビジネスユースケースシナリオのPoCやパイロットプロジェクトを通じて、技術の可能性と実現性を探るよう顧客の皆様にアドバイスしてきました。このプロジェクトが成功すれば、正式なCBDC設立に向けたより確実なステップにつながるかもしれません。

中央銀行によるPoCやパイロットプロジェクトでは、CBDCの調査を開始する前に技術、経済、規制の側面をカバーすることができるはずです。そこで、パートナーコンサルタントが2つの主要な側面をカバーする国別のコンサルティングを提供します。

  1. ビジネスプロセス・リエンジニアリング
    ビジネスプロセス・エンジニアが、その国の貨幣の状況を把握し、ビジネスにおけるユースケースシナリオごとに「現状」を精査し、「今後の」状況を構築し、いくつかの提案を行います。

  2. ブロックチェーン、分散型台帳技術(DLT)、CBDCの分析
    技術的な範囲については、20~30年以上にわたって貨幣技術を扱ってきた経験豊富な専門家チームと、過去6年間にわたり学術的・経験的にブロックチェーンとCBDC技術を専門としてきた専門家チームが、どの技術を使うべきか/使わないべきか、なぜ使うべきかという専門的意見を提供します。

これらのコンサルティングに加え、PS-CBDCのユースケースを想定し、以下のようなシナリオを想定しています。

汎用的な技術

PS-CBDCは、様々なアプローチを想定して開発したため、使用するブロックチェーンエンジンを限定しないユースケースのポータブルアプリケーションを実現しました。電子小切手発行、質権設定、償還、PS-CBDCのユニットを直接または間接的に、あるいはハイブリッドで配布し、質権設定や償還業務を通じて一般に利用できるようにします。

銀行間決済

商業銀行は、PS-CBDCのCBDCウォレットを使用して、決済を目的とした口座間の残高移動を行うことができます。

キャッシュイン/キャッシュアウト

PS-CBDCでは、銀行券とCBDCを交換するキャッシュインと、CBDCと銀行券を交換するキャッシュアウトの両方が可能です。

ウォレット間の送金

PS-CBDCは、ウォレットの種類を問わず、支払い目的や支払い限度額を設定することによりリアルタイムでの資産移動が可能です。ウォレットは、個人、企業、政府機関、または組織情報認証済の地域組織どに割り当てることができます。

レポートと問い合わせ

PS-CBDCには、中央銀行や他の参加組織に対して、送受信されたトランザクションの検査や追跡を行うためのレポート機能があります。

オフライン取引

PS-CBDCは、ネットワーク接続が限定的、または接続がない状況においてもオフライン取引を限定的に使用することが可能です。オフライン取引のリスクを最小化するために、中央銀行がコントロールできるような一定の措置を提供します。

日中流動性管理とスイープアカウント

ビジネス・エンティティは、商業銀行や中央銀行を超える拡張された時間枠の中で仕事をしているため、階層的に決定されたPS-CBDCウォレットの導入により、ビジネス・エンティティが中央銀行の勤務時間外に流動性ニーズを管理することが容易になります。そのためには、特に子会社が絡む場合など、日中に頻繁に銀行口座からお金を出し入れする必要がある事業体が管理する電子マネー銀行口座とCBDCウォレットの相互運用性が求められます。

導入へのアプローチ

CBDC のユースケースシナリオ導入にあたっては、地理的に限定してテストを行うか、あるいは、または地理的な限定に加えて業種やベンダーの種類に限定して行うなど、限られたユースケースから CBDC を段階的にテストするというアプローチが推奨されます。また、この段階では、中国でのケースでいう赤い封筒のプレゼントやウルグアイのケースでいう宝くじ応募のようなインセンティブに加えて、テストできる「成功」の基準やベンチマークを持つことが重要となるでしょう。

ユースケースがビジネスシナリオ分野の一部の限定的なグループに適用されると、同じユースケースを同じ分野の別セグメントに拡張します。そして、ビジネスユースケースが完全に導入されるか、少なくともその分野の80%以上の母集団に拡張された場合に初めて、プラットフォームは他のユースケースを組み込むために拡張することができる、といった具合です。しかし、テストや実験段階から本格的な立ち上げに移行する間、中央銀行は、ユーザーファーストで、かつ常にこれまでと同様の機能を維持することを保証しなければなりません。

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